田舎暮らし in 熊野

田舎暮らしの日常、旅行、グルメ、読書について書いています。

都会から田舎に移住して感じる、田舎暮らしの3つのメリット

田舎暮らしの魅力というと、豊かな自然、温かい人間関係を思い浮かべる方が多いかと思います。この二つに関しては、都会から田舎に移住した私の実感としてもその通りだと思います。今回はこの二つを除いた田舎暮らしのメリットを自らの体験に基づいて三点紹…

「少数決原理」で社会が動くメカニズムとは?

日本のような民主主義社会においては「多数決原理」で社会が動いていると思われがちですね。実は必ずしもそうではないようです。ライター、金融トレーダー、ニューヨーク大学教授でもある、ナシーム・ニコラス・タレブの著書『身銭を切れ 「リスクを生きる」…

アインシュタインは疫病の流行をどのように考えていたのか?

アインシュタインといえば、言わずと知れた天才物理学者ですね。20世紀に最も影響を与えた人物の一人としても知られています。昨日、アインシュタインの演説を読んでいたら、疫病に対する言及がありましたので紹介します。この演説は"The Fate of Our Civili…

循環する生命 〜宮沢賢治の『なめとこ山の熊』を読んで〜

人間を含むすべての生物は、他の生物の命を奪うことで生きています。食べるとはそういうことです。これは冷徹な事実ですね。では、他の生物に食べられてしまった生物の命はそこで終わりなのでしょうか。イエスでありノーでもあると思います。個体的生命とし…

真のエリートとは? 〜オルテガの『大衆の反逆』を読んで〜

「人間を最も根本的に分類すれば、次の二つのタイプに分けることができる。第一は、自らに多くを求め、進んで困難と義務を負わんとする人々であり、第二は、自分に対してなんらの特別な要求を持たない人々、生きるということが自分の既存の姿の瞬間的連続以…

コロナ以後の世界はどう変わるのか② 〜超監視社会の到来〜

今回はコロナ以後の世界がどう変わるのかについての2回目です。イギリスのフィナンシャルタイムズの記事を基に考えていきます。この記事は世界的ベストセラーとなった『サピエンス全史』の著者でイスラエルの歴史家、ユヴァル・ノア・ハラリ氏へのインタビュ…

コロナ以後の世界はどう変わるのか① 〜グローバリズムの後退とナショナリズムの復活〜

コロナ危機が続いています。私の暮らしている田舎は、宿泊客の減少、屋内イベントの中止などの影響が出ていますが、外出自粛が続く東京などの大都会ほどのダメージは受けていない印象です。感染者は今のところ出ていません。宿泊を伴わない観光客はむしろ増…

デジタル掛け軸(D-K)と滅びの美

先日、熊野市にあります世界遺産、花の窟神社で開催されたデジタル掛け軸(D-K)のイベントに行ってきました。デジタル掛け軸とは、世界的な映像アーティストの長谷川章氏が創作したデジタルアートです。複数のプロジェクターで建物や壁などにデジタル映像を…

「人間中心主義」は終焉したのか 〜フーコーの『言葉と物』を読んで〜

分かりやすくニュースを解説する池上彰氏、分かりやすい言葉で政治を語る政治家、難しい専門書を分かりやすく説明した解説書などなどが人気ですよね。では「分かる」とは何を意味しているのでしょうか。物事には名前(言葉)があり、人間はその言葉の意味を…

東日本大震災の教訓は「コロナ危機」に生かされているのか

本日は東日本大震災の発生から9年目です。目下、「コロナ危機」が進行中ですね。果たして東日本大震災の教訓は、「コロナ危機」に生かされているのでしょうか。そして「コロナ以後」の世界はどうなるのでしょうか。 東日本大震災の教訓については様々な意見…

なぜ人間は失敗し続けるのか〜確証バイアスの光と影

戦争、環境破壊、バブルの発生と崩壊、デマや集団ヒステリーの流布、統治の失敗などなど、人間は懲りることなく失敗を続けてきました。賢いはずの人間は何故、失敗を続けてきたのでしょうか。「確証バイアス」が深く関係しているのかもしれません。 確証バイ…

滅びゆく武士が伝えたかったこと〜奈良、九品寺の石仏を観て〜

昨日、奈良の御所市にあります九品寺を訪れました。九品寺は奈良時代に行基が開いた古刹です。行基は奈良東大寺の大仏建立に尽力した人物として、日本史にも登場する名僧ですね。今から約700年近く前の南北朝時代、九品寺は周辺地域を治める武士氏族、楢原氏…

民主主義の逆説とは?〜民主主義が進むほど民主主義は衰退する〜

トランプ大統領の登場、イギリスのEU離脱、イタリアの五つ星運動の台頭等々、現在、世界中でポピュリズムが台頭しています。ポピュリズムとは民衆が極端な要求を掲げ、それを叶えてくれる(であろう)専制的な指導者が現れる現象を指します。 イタリアはさて…

現代人が失ってしまったもの 〜夜の喪失と物語の終焉〜

百鬼夜行 あまたの鬼や妖怪が暗闇の中をうごめいている様子ですね。昔の人の夜に対する恐怖感を示している言葉と言えるでしょう。現代人も夜に対する恐怖感を引き継いでいると思いますが、かつて程ではないでしょう。街灯、ネオンに煌々と照らされた都市を夜…

養殖は環境に優しい、は本当か?

昨年末に奮発して青森産の天然本マグロの大トロを食べました。いわゆる最高級品です。微かに酸味があって、しつこくない脂の乗りで確かに美味しかったです。天然本マグロを食べるのは久しぶりでした。今、日本で出回っている本マグロは養殖物が多いですよね。…

カルロス・ゴーン盛衰記 〜野心家の栄光と悲惨〜

東京拘置所の三畳程の独居房でカルロス・ゴーンは無機質な壁を見つめながら何を想っていたのでしょうか。そして楽器箱の中で。 世界的な自動車グループを築き上げた、ビジネス界の栄えある超エリートだったカルロス・ゴーン。南仏にクルーザーを所有し、優雅…

絶望の伝道師、ミシェル・ウェルベックとは?

「ぼくは1人の女性を幸せにできたかもしれない。または2人を。それが誰かはすでに話した。最初から何もかもがあまりにも明白だった。でもぼくたちはそのことを考慮に入れなかったのだ。個人の自由という幻想に身を任せてしまったのだろうか、開かれた生、無…

最近、日本で大規模デモが起こらないのはなぜか?

2019年は世界中でデモが頻発した年でしたね。香港、インド、イラン、イラク、スペイン、フランス、ドイツ、イギリス、スウェーデン、ボリビア、チリ、ベネズエラ、スーダン、アルジェリアなどなど枚挙に暇がないです。外国のニュース番組を視聴していると、…

哀しさと美しさ 〜Speak Lowを聴いて〜

小さな声でささやいて、愛しい人よ 夏の日はあっという間に消え去ってゆく 小さな声でささやいて、愛しい人よ 私たちの一瞬は瞬く間に過ぎ去ってゆく 海にたゆたう船のように 私たちもたちまち別れ離れになる 小さな声でささやいて、ダーリン、小さな声で 愛…

「選択と集中」の危険性 〜大英帝国の衰退に学ぶ〜

選択と集中と言えば、経営学の概念ですね。自社の得意分野に資源を集中投下することで成長を成し遂げようという経営戦略の一種です。対義語は多角化です。経済学用語の比較優位説も似た概念です。それぞれの国は得意分野に特化することで、経済効率が最大化…

本居宣長の一生 〜プロを超えたアマチュア〜

本居宣長といえば、江戸時代に活躍した国学者であり、日本史の授業にも登場する日本史に残る偉人ですね。そんな本居宣長、実はアマチュア学者だったのです。現在の日本でアマチュアと言えば、プロより劣る存在であると一般的に考えられていますよね。野球を…

最強国、アメリカを蝕む知られざる病の正体とは?

現代の最強国はアメリカである、この考えに異論はほとんど出ないのではないでしょうか。経済力、軍事力等々、中国に追い上げられているとは言え、アメリカは現代世界で群を抜いている超大国ですよね。ではアメリカに死角はないのでしょうか。そんなことはあ…

死と再生の地、熊野 〜黄泉の国、根の国、常世〜

昨日、熊野古道の中辺路を歩いてきました。私は熊野に住んでいますので、ほぼ毎週末にはどこかしらの熊野古道を歩いています。熊野古道というと、観光地で多くの人々が歩いていると思ってらっしゃるかもしれません。一部を除いてそんなことはありません。総…

三極化する田舎移住者 〜自給自足、起業、スローライフ〜

田舎移住者というと、自然愛好者、親密な人間関係を求める人々等々を思い浮かべる方が多いと思います。実は、田舎移住者にはこれらのステレオタイプに収まり切らない多様性があります。私は東京、名古屋で15年暮らした後に田舎に移住しました。人口は300人程…

芸術における美は「必要」から生まれるのか。〜坂口安吾の『日本文化私観』を読んで〜

「必要は発明の母」ということわざがありますね。「必要は芸術における美の母」とも言えるのでしょうか。『堕落論』などで有名な無頼派の作家、坂口安吾のエッセイ『日本文化私観』を通して、芸術における美について考えてみます。 坂口安吾はエッセイの中で…

大好きが大嫌いに変わる時、人は鬼になる。〜道成寺伝説を読んで〜

本日、和歌山県日高川町にある道成寺を訪れました。道成寺は能、歌舞伎、浄瑠璃といった古典芸能の演目となった「安珍清姫伝説」の舞台となった場所です。創建は701年と、長い歴史を有する名刹です。 「安珍清姫伝説」を紹介します。 奥州から熊野詣に向かう…

葬礼に見る矛盾する人間の本能 〜忘却と記憶の間で〜

昨日、奈良県明日香村の石舞台古墳を訪れました。7世紀初頭に築かれたと考えられています。蘇我馬子のお墓との説が有力なようです。石の下は空洞になっていました。 地震や台風などの災害にも耐えて、1000年以上も姿を保っているとは驚きです。有名なお墓と…

トランプ現象を生み出した心理とは?

「トランプ支持は、選挙民の自分たちの社会的な存在を認めてほしいという切なる要望の表われだったのである。トランプに投票した人々は、自分たちのそうでありうる、あるいはそうあるべき姿でなく、ありのままの姿を愛してほしかったのだ」 フランスの経済学…

虫を食べて育った牛が地球を救う!かもしれない。

虫を食べるのはなかなか抵抗がありますよね。では、虫を食べて育った家畜の肉を食べるのはどうでしょうか。おそらく、そこまで抵抗はないのではないでしょうか。実は今、家畜飼料用の虫を生産するスタートアップ企業が海外で勃興しています。アメリカのニュ…

ブラック企業に服従する人間の心理とは?

製造業のデータ改ざん、食品業の産地偽装、パワハラなど企業の不祥事が絶えませんね。これらの悪事を為した企業人は、果たして極悪非道の悪人なのでしょうか。そうとは言えない可能性が高いです。会社の命令だから、会社に良かれと思って、組織の命令に陰に…