田舎暮らし in 熊野

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都会から田舎に移住して感じる、田舎暮らしの3つのメリット

田舎暮らしの魅力というと、豊かな自然、温かい人間関係を思い浮かべる方が多いかと思います。この二つに関しては、都会から田舎に移住した私の実感としてもその通りだと思います。今回はこの二つを除いた田舎暮らしのメリットを自らの体験に基づいて三点紹介します。

 

①新鮮で美味しい食材が容易に手に入る。

②出費が激減する。

③自給自足能力が高まる。

 

私は東京で7年、名古屋で10年暮らした後、2年ほど前に熊野古道で有名な三重県熊野市のとある漁村に移住しました。現在、私が暮らす漁村の人口は300人程で住民の平均年齢は65歳を越えている、いわゆる限界集落です。東京、名古屋では典型的なサラリーマン生活をしていました。スーツを着て満員電車で通勤、オフィスでは主にパソコンや電話を使って仕事をしていました。貿易関係の仕事でした。都会暮らしに限界を感じていたこともあり、今までとは全く違う環境に飛び込みました。現在は漁村で漁業振興の仕事をしています。下記は私の暮らしている漁村の風景です。

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自らの移住体験を通して感じる田舎暮らしの3つのメリットを順に紹介していきます。

 

①新鮮で美味しい食材が容易に手に入る。

私の暮らしている熊野市は黒潮が沖合に流れる外洋性の海に面しています。マグロ、カツオ、ブリ、サバ、サンマのような回遊魚に加えて、伊勢海老、クエのような高級魚介類も揚がります。揚がったばかりの新鮮な魚介類が地元のスーパーに安値で並んでいます。鮮度落ちが早い、知名度が低いなどの理由で都会にはほとんど出回らないですが、実はとても美味しい魚なども地元では流通しています。下の写真はヒラソウダというカツオの仲間の魚です。鮮度落ちが早いので、都市部で生食用として流通することはほぼないです。実は絶品です。脂のりのりで、本カツオをも凌ぐ美味しさです。

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魚介類以外でも、肉、柑橘類、野菜など新鮮で美味しい食材が手に入ります。そして水が美味しいです。湧水もそこらじゅうに湧き出ています。水道水でも十分に美味しいです。

もちろん、都会でも新鮮で美味しい食材は流通していますが、主に料理店や高級スーパーなどでの取り扱いになります。一般的なスーパーで流通している食材のレベルで言えば、都会より田舎の方が断然高いと思います。

 

②出費が激減する

都会から田舎に移住するとほぼ間違いなく所得は減ります。しかし、同時に出費も減るので、生活水準はそこまで下がらないというのが私の実感です。例えば家賃です。東京でしたら平均的な1Kで9万/月くらいはしますよね。田舎でしたら一軒家で1万、数千円/月の物件はざらにあります。田舎は空き家が非常に多いです。空き家を放置して朽ち果てさせるよりは、安値でも誰かに住んでもらって維持管理してもらった方が良いと考える家主さんが多いのです。

家賃以外でも、飲食店や買い物をする場所がそもそも少ないので、出費は減ります。個人的には飲み代が激減しました。私の暮らしている集落には飲食店はありませんし、電車も通っていないので、飲みに行く機会は非常に少ないです。

ただ、車関係の出費は新たに発生します。田舎暮らしには都会生活とは違って、車は必要です。車関係の出費は新たに発生しますが、それらの出費増を補って余りあるくらい他の出費が激減しますので、総じて言えば、都会生活と比べて生活水準はそこまで落ちないと思います。

 

③自給自足能力が高まる。

個人的にはこれが田舎暮らしの最大のメリットだと思います。田舎の人々は、食料生産、車など機械の修理、住居の修繕などを自分で行う人が非常に多いです。都会でしたら、お金を払って業者に依頼する人が多いでしょう。私自身がそうでした。洗面器に水がつまるなどの些細なトラブルでも業者に修理を依頼していました。もちろん、食料生産はしていなかったです。今では、住宅の修理修繕なども基本的に自分で行っています。一度自分でやってみると、案外簡単なことに気がつきました。どうしても上手くいかなければ、DIY(Do It Yourself)が得意な人に聞けば教えてくれます。

自給自足能力を高める意義とは何でしょうか。危機事態を生き延びる可能性が上がることです。大規模自然災害、戦争などの危機事態においては、お金はほとんど役に立たなくなる可能性があります。最近のコロナ危機でも明らかになっていますが、いくらお金があっても、買い占め等で必需品を買えない事態が起こり得ます。自分で食料などの必需品を生産、調達できる能力などが危機事態における生存可能性を飛躍的に増大させます。都市文明は複雑な分業制によって成り立っています。平時であれば、分業制は社会に利便性や豊かさをもたらしますが、危機事態においては逆に弊害をもたらします。分業制は人間の全体性やサバイバル能力を低下させ、ひいては危機事態における生存可能性を下げてしまう副作用もあるという危機意識を持っておく必要はあると思います。

 

いかがでしたでしょうか。都会から田舎に移住した自らの体験を踏まえて、田舎暮らしのメリットを三点紹介しました。

 

①新鮮で美味しい食材が容易に手に入る。

②出費が激減する。

③自給自足能力が高まる。

 

当然、田舎暮らしにはデメリットもあります。田舎社会は総じて閉鎖的ですし、新しい取り組みに消極的な人が多いです。良いところばかりではありませんが、都会から田舎に移住して学ぶことも沢山あります。田舎暮らしに興味がある方、田舎移住を考えている方の参考になれば幸いです。