田舎暮らし in 熊野

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最近、日本で大規模デモが起こらないのはなぜか?

2019年は世界中でデモが頻発した年でしたね。香港、インド、イラン、イラク、スペイン、フランス、ドイツ、イギリス、スウェーデンボリビア、チリ、ベネズエラスーダンアルジェリアなどなど枚挙に暇がないです。外国のニュース番組を視聴していると、毎日のようにデモのニュースが流れています。経済、政治、移民、環境問題などデモの内容は様々です。

 

対して日本では大規模デモは起こっていないですよね。もちろんデモ自体が起こっていないわけではありませんが、何万、何十万人を動員して世論を変えるほどの規模のデモは起こっていません。何故、最近の日本では大規模デモが起こらないのでしょうか。考えられる代表的な理由をあげてみます。

1・社会が安定しているから。

2・豊かな国だから。

3・日本人はおとなしいから。

4・少子高齢化でデモを行う若者が少ないから。

 

1・社会が安定しているから。

社会の安定の基準は定かではありませんが、経済的格差が小さい、政治的分断が進んでいないなどになるかと思います。現在の日本は格差社会と言っても間違いないと思います。格差の程度を示すジニ係数を見ると、日本は先進国の中では米英に次いで、格差が大きい社会です。よって経済的観点からは、日本が安定した社会とはもはや言い難いです。政治的分断に関しては、現在は表立っていません。ただ、憲法改正の賛否を巡って、潜在的に政治的分断をはらんでいると思えます。よって日本で大規模デモが起こらない主な理由として、社会の安定をあげることには無理があると思います。

 

2・豊かな国だから。

もはや日本は豊かな国とは言えないでしょう。国の経済規模(GDP)は世界3位ですが、国民一人当たりのGDPは世界の24位程度です。先進国では最低です。国民一人当たりのGDPが日本より高い、香港やドイツ、北欧諸国でも大規模デモは起こっています。豊かな国では大規模デモは起こらないということはありませんね。日本は豊かな国だから大規模デモが起こらない、という論は二重の意味で間違えていると思います。そもそも日本は豊かな国ではないですし、豊かな国であっても現実に大規模デモは起こっています。

 

3・日本人はおとなしいから。

これはもっともらしく聞こえますよね。日本人は自己主張が苦手、周りとの間に波風を立てたくない、和を尊ぶ、などの国民性は確かにあると思います。ただ歴史的に見ると必ずしもそうではないことが分かります。江戸時代には米騒動が頻発しましたし、明治時代ですと日比谷焼き討ち事件、戦後には安保闘争学生運動が起こりました。大阪の西成で暴動が発生したこともあります。現在の日本人は総じておとなしいと思いますが、それは日本人が「絶対」におとなしいことを意味しません。場合によっては日本人も大きな声を上げます。

 

4・少子高齢化でデモを行う若者が少ないから

私はこの理由が一番大きいと思います。古今東西、若者は血気盛んです。デモを行うのは主に若者です。香港デモもそうですよね。中東やアフリカのデモもそうです。現在の日本は少子高齢化が進み、デモを担う主体である若者がそもそも少ないため、大規模デモが起こらない、そう言えるのではないでしょうか。若者の「草食化」もあるのかもしれません。

 

いかがでしたでしょうか。最近の日本で大規模デモが起こらないと考えられる4つの理由を検証しました。少子高齢化でデモを主に担う若者が少ないことが一番大きい理由ではないか、との持論を述べました。もちろん、単純化することはできません。社会が安定している、おとなしい等の理由も確かにあるでしょう。豊かであるからという説に対しては首を傾げます。現在の日本はもはや豊かではないですし、豊かな国であっても大規模デモは起こっています。マスメディアの報道では、デモの要因として貧困問題があげられることが多いですよね。完全に間違えているとまでは言いませんが、デモの原因全てを貧困問題に帰結させるのは、かなり無理があると思います。

 

来年はアメリカ大統領選があります。国際情勢は混沌としています。来年も世界中で大規模デモが頻発するでしょう。日本だけ他人事では済まされないでしょう。私は社会の分断が進み、暴力がはびこるようなデモには反対です。ただ、厳しい状況の中で自己主張をする姿勢に関しては、現在の日本は見習うべきだと思います。自由民主社会を支えるのは、「自由」と「寛容」の精神だと思います。自由闊達な議論をしつつも、自分とは考えの違う人の意見にも耳を傾けて、なんとか折り合いをつけていく、そんな「知恵」が今、世界中で求められているのではないでしょうか。