田舎暮らし in 熊野

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コロナ以後の世界はどう変わるのか② 〜超監視社会の到来〜

今回はコロナ以後の世界がどう変わるのかについての2回目です。イギリスのフィナンシャルタイムズの記事を基に考えていきます。この記事は世界的ベストセラーとなった『サピエンス全史』の著者でイスラエルの歴史家、ユヴァル・ノア・ハラリ氏へのインタビュー形式になっています。

 

ハラリ氏はコロナ危機を我々の世代が経験する最大級の危機だと認めています。危機事態においては、国民の安全や健康を守るために監視社会が正当化される傾向があり、危機収束後においても監視社会が残る可能性があると警鐘を鳴らしています。ハラリ氏は危機を乗り越えるためには、監視の強化よりも、市民の力の増大、国際的連携が必要だと述べています。

 

現在、世界で最も監視社会が進んでいるのは中国でしょう。人間の顔認識可能な監視カメラがあらゆる場所に設置され、信号無視でさえも即把握されます。スマートフォンの閲覧状況も政府によって監視されています。新型コロナの拡大を防ぐために、国民に検温とその結果、健康状態の申告を義務付けています。感染を疑われる人物の位置情報を示すアプリも普及しています。イスラエルにおいても、感染者を追跡するために、テロリスト相手の戦闘用のみに認められていた監視技術の適用が認められました。

 

コロナ以後の監視社会の恐ろしい点は、国民の健康状態や生体情報までもが政府によって把握されてしまう可能性があることだとハラリ氏は述べています。つまりは、生体情報を解析することで、国民の喜怒哀楽といった感情さえもが、政府によって把握される事態になりかねないと。政府に都合の悪い人物は、即明るみに出されることになるでしょう。なんとも生き難い世の中ではないでしょうか。

 

ハラリ氏は危機を乗り越えるためには、監視の強化よりも、市民の力の増大と国際連携が必要だと述べています。市民の力の増大とは、手洗いなどの公衆衛生の強化であったり、誠実な自己申告、検査への協力などです。これらを可能にするためには、公的機関、科学、メディアなどに対する市民の信頼が不可欠です。国際連携とは国際的な情報共有であったり、人工呼吸器や検査キットなどの医療機器をグローバル規模で生産、供給し、融通し合うことなどです。

 

いかがでしたでしょうか。ハラリ氏は危機事態において正当化される国家による国民の監視の強化が、危機収束後も残る可能性があると警鐘を鳴らしています。危機を乗り越えるためには、監視の強化よりも市民の力の増大や国際連携が必要ではないかと。

個人的には総論としては、ハラリ氏の意見に賛成です。喜怒哀楽までも政府に把握されるような監視社会になって欲しくありません。ただ、日本の場合は諸外国の対応と比べると、プライバシーへの配慮、混乱の回避などの理由で情報公開が遅く、実際はどの程度感染が広がっているのか疑心暗鬼を招いてしまうという側面もあります。危機事態においては、政府による強権発動をある程度認める必要もあるでしょう。