田舎暮らし in 熊野

田舎暮らしの日常、旅行、グルメ、読書について書いています。

地方創生を阻む内部の壁とは

言うまでもなく地方は人口減少が進み、疲弊しています。ではなぜこのような事態になる前に地方自身の手で内部改革を行い、事態の悪化を防ぐことが出来なかったのでしょうか。現象面だけを捉えて、因習にとらわれて変化しようとしない田舎が悪い、というような感情的な非難からは何も生まれません。なぜ田舎は保守的なのかという背景を理解する必要があります。私自身、都会から田舎に移住して地方創生に関わって感じる、地方住民自身の手で地方創生を行うことが難しい背景を三点述べます。

 

①田舎社会の強い同調圧力の存在

②自己否定の難しさ

③惰性の心情

 

①田舎社会の強い同調圧力の存在

日本で暮らす誰しもが多かれ少なかれ社会の見えない同調圧力を感じたことがあるのではないでしょうか。空気を読む圧力と言い換えてもいいです。大多数と異なる意見を言うと場の雰囲気が凍りついてしまう。結果的に、内心ではおかしいと思っていても、周囲との間に軋轢を生むくらいなら波風を立てないでおこうという心理になります。田舎の場合には、全員顔見知りのような狭い社会ですので、どうしても同調圧力が強くなります。新しい取り組みを行うことは、当然周囲に波風を立てます。

 

②自己否定の難しさ

新しい取り組みをすることは、過去の自分を否定することでもあり、精神的な痛みを伴います。誰にとっても難しいことです。田舎は都会に比べると人や物の入れ替わりが少なく、変化の度合いが少ない社会のため、変化に対する耐性が弱くならざるを得ないのです。変化の際の痛みも大きくなります。

 

③惰性の心情

今までなんとかなってきたのだから、これからも大丈夫だろうという心情です。これも多かれ少なかれ誰しもが持っている心情なのではないでしょうか。人間は過去の経験から未来を予測する生き物ですから当然です。田舎は疲弊しており、田舎の人々は困っているはずなので、今すぐ変革せねばならないと考えている都会の方も多いと思います。実は田舎の生活は必ずしも悲惨なものではないです。都会に比べると、経済的に厳しい状況にあることは事実ですが、田舎の人々は自給自足能力が高いですし、困ったら周囲で助け合う文化があります。現状においても、それなりにうまく機能している社会だったりします。

 

いかがでしたでしょうか。地方住民自身の手で地方創生を行うことを難しくしている背景を述べてきました。お気づきかと思いますが、変化を阻む3つの壁は田舎だけの問題ではありません。社会や組織に所属する人間であれば誰しも突き当たる壁ですよね。特定の地域や個人の問題ではなく、社会全体の問題として地方創生を考えていく必要があるのではないでしょうか。今後の地方創生にあたり、田舎が変化への耐性をつけるために都市地方間交流を進めていくことも必要でしょう。自給自足能力や助け合うの文化などは田舎の美点として今後も残すべきだと思います。変えるべきは変え、残すべきは残す。変える際には、現象面だけを見て、急進的に行うのではなく、背景を理解しながら漸進的に行うこと。これが重要だと思います。