田舎暮らし in 熊野

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進化した「人工肉」がアメリカで急速に普及、その実力とは?

植物から作られた人工肉がアメリカで急速に普及しています。最近、アメリカのメディアを見ていると、人工肉関連の記事が多く出てきます。ニューヨークタイムズ紙、ウォールストリートジャーナル紙、ファストカンパニー誌の記事を紹介します。

 

ファストカンパニー誌の記事によると、2018年に発表された過去1年間の売上動向を見ると、植物肉の売上は23%増加したようです。食肉の売上は2%の増加です。現在のアメリカ人の約3割は食肉の消費を減らすようになったと言い、32%はゆるい菜食主義者を自認しています。2008年度比で、アメリカではヴィーガン(厳格な菜食主義者)向けの食品普及率は490%も増加しています。

 

食べ方としては、人工肉バーガーなどが人気のようです。バーガーキングネスレも参入しています。マクドナルドはドイツ、英国で人口肉バーガーを既に販売しています。

 

ではなぜ人口肉が急速に普及しているのでしょうか。一つ目は、味が良くなっていることです。かつての人工肉と違い、現在の人工肉は味わい、食感共に食肉にかなり近いものになっているようです。ウォールストリートジャーナル紙の記事によると、焦げ目がついたり、血が滴る(ビートという植物の絞り汁)人工肉バーガーも販売されています。二つ目は、環境保護の関心の高まりです。ニューヨークタイムズ紙の記事によると、地球上で一年で排出される温室効果ガスの約14.5%は家畜が排出しています。この割合は、世界中の車、船舶、飛行機が排出する温室効果ガスの総量とほぼ同量です。よく考えたらものすごい排出量ですよね。車のそれより多いのですから。確かに、食肉の消費を抑えたら、環境保護に大きく寄与しますね。

 

人工肉の問題点は何でしょうか。味、コスト等の問題に関しては急速に解決が進んでいます。私は生命倫理に関わる問題が最大の問題になるだろうと思っています。人間を含めた生物は、否応なく他の生命の命を奪うことで生きています。動物だけでなく、植物も生命です。植物由来の人工肉を食べることで、自分は地球に優しい倫理的な人間だと思い上がる可能性があります。温室効果ガスを減らすことと、倫理的な人間であることとはイコールではないと思います。人間が生きるということは、他の生命の犠牲の上に成り立っているという事実を謙虚に受け入れ、犠牲になった生命に感謝の念を持つ、謙虚な気持ちを忘れずにいたいものです。

 

日本での人工肉の普及具合は、どうなっているのでしょうか。大きなニュースにはなっていませんし、ほとんど見かけませんよね。日本でよく知られている人工肉と言えば、豆腐ハンバーグぐらいでしょう。日本の食肉消費量は増えています。赤身肉、熟成肉ブームもあります。日本に人工肉が普及するのは、しばらく先になりそうです。