田舎暮らし in 熊野

田舎暮らしの日常、旅行、グルメ、読書について書いています。

衰退する地方を救う 学生の力!

「魚を使ったスイーツを作ってみてはどうか」

「(サバを見て)サンマだ!」

学生たちの一言です。

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先日、熊野の地域おこしに協力してくれている学生ボランティア団体の学生たちが魚市場を見学にいらっしゃっいました。市場、加工場の案内、日本の漁業、熊野の漁業、漁業関連の最新トピックスの講義を行いました。学生たちからは魚料理の商品開発のアイデアも頂きました。魚を使ったスイーツというアイデアは思いもつかず、新鮮な感性に触れることができ、貴重な体験になりました。サバとサンマの見分けがつかない学生の話に関して、若者の無知だと笑うことはできないと思いました。若者の魚離れは思っているより深刻なのでしょう。

 

実は私は学生による地域おこし活動には懐疑的な立場でした。なぜならば、一つ目は学生を話題づくりのために利用しようとする大人の下心を感じたからです。メディアなどでも学生と共に商品開発した話などが溢れていますね。二つ目は地域おこしに際しては、アイデアよりも行動が重要だと考えているからです。私は仕事として地域おこし活動を行う中で、周囲を説得しながらアイデアを実行する難しさを感じてきました。

 

今回、地域おこしに興味を持つ学生たちと接して考えが変わりました。主に2点です。一つ目は、自らが現実の制約に囚われて、地域おこしのアイデアを出すという楽しく且つ大切な原点を忘れていたと気付かされたことです。二つ目は、学生たちが地域おこしに興味を持ち、実際に関わってもらうことは、長い目で見て地域活性化につながるのではないかと感じたことです。卒業後すぐ田舎に移住してくる人は少ないでしょう。ただ、都会に暮らしていても田舎の魅力を周囲に語ってくれるでしょうし、年齢を重ねた後、いずれ田舎に移住してくるかもしれません。

 

田舎で地域おこしに関わる者が学生と関わる際に注意することは何でしょうか。私は相互に与え合う関係を作ることだと思います。学生を話題作りやアイデアの源泉として利用するだけではうまくいきません。田舎に住む者として学生に対して、実際に田舎暮らしをして感じる田舎の魅力や課題を語る必要があります。魅力だけを語ってもあまり信憑性がないです。田舎の問題点も語ることで、学生たちには問題解決力を身につけてもらいたいです。問題解決力はどこにいっても役に立つ能力です。私自身、学生たちに語る際に表現方法として気をつけることがあります。全体像を示した上で部分を語ることです。日本の人口問題、地方衰退の現状、なぜ地方衰退が進んでいるのかという社会背景を伝えた上で、自らが暮らす地域の実情を語ります。全体像だけを伝えると、学校の授業と同じになり、地域の実情が伝わりません。部分だけを伝えると、地域の衰退はある特定の地域で起こっている出来事なのか、全体的な流れとして起こっているのかが伝わりません。全体と部分の関係性を伝えるということです。もう少し突き詰めると空間軸と時間軸の中で自分がどこに位置しているのかを伝えることです。遠い異国の地で起こっていることが、自分の生活にどのような影響を与えているのか。1000年前に起こった出来事が、今の自分の生活にどう繋がっているのかを伝えるということです。

 

いかがでしたでしょうか。地域おこしに協力してくれている学生たちとの交流を通して感じた地域おこしの可能性を述べました。学生たちと接する際の注意点についても述べました。