田舎暮らし in 熊野

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地域おこしの際の注意点〜計画より行動〜

都会から田舎に移住して、地域おこし活動を考えていらっしゃる方々に、自らの経験を踏まえて地域おこしの際の一般的な注意点を助言したいと思います。個別的な注意点(起業か、就職か、事業継承か等)については別の記事で次回以降に書きます。

田舎は都会に比べると保守的で新しい取り組みを行うことには消極的です。これは田舎は遅れている、といったような非難をしているのではありません。田舎は都会に比べると自給自足的な生活を送ってきており、経済的には厳しくとも地域内で助け合うことで自立して暮らしています。お金がなければ生活が成り立たない都会とは違う原理で動いている部分があります。ですので、田舎の住民には必ずしも新しい取り組みをしなくても暮らしていけるという実感があります。

田舎に移住して地域おこしをする際には、この地域の実情をまずは知っておく必要があります。マスコミなどの報道だけみていると、地方の衰退は相当に深刻であり、誰かが喫緊の課題として現状改革をしなければ地方は消滅すると考えがちです。確かに地方の人口減少に伴う経済的苦境は深刻ですが、今すぐに新しい取り組みをしなければ生活が成り立たたなくなるという危機感を持っている地域住民は少数派です。

勇み足で地域おこしのために外部から田舎に乗り込んでみたら、地域住民から感謝されるどころか警戒されてなかなか前に進まないということになりかねません。まずは田舎の美点として、地域内の助け合いによって自立的な生活圏を築いている現状を認識する必要があります。次には地域の方々と長期的な危機意識を共有するように努めて下さい。地域住民の大多数もこのまま人口減少が続けば、助け合う人自体がいなくなり、地域共同体そのものが消滅してしまうという危機意識は持っています。

田舎で何か新しい取り組みを始める際には、計画に長い時間をかけるより、まずは行動に移してみて下さい。田舎の場合は、都会ほど競争が激しくありませんので計画としての完成度はそこまで求められていませんし、社会が保守的なこともあり、計画段階での完全な合意形成は不可能に近いです。まずは自分自身で行動し、実績を出せば周りはついてきます。

中途半端な協力者10人より、有力な協力者1人を得るようにして下さい。意見には賛成だが、自分に火の粉が降りかかるのは嫌だという総論賛成各論反対の人は多いです。実際に自分と行動を共にしてくれるパートナーを最も大切にして下さい。地域おこしは計画より行動が重要です。

成功事例よりも失敗事例をより多く研究しましょう。地域おこしの成功事例はメディアなどでよく取り上げられていますのでご存知の方も多いと思います。成功から学ぶ場合には、結果に目が行きがちです。地域毎で事情は異なります。ある地域で成功した結果をそのまま別の場所に持っていっても同じように成功するとは限りません。失敗から学ぶ場合には、何故失敗したのか等のプロセスに主に目がいきます。プロセスにはある程度の普遍性があります。

 

地域おこしの際には計画より行動、これが最も重要なことだと個人的には思います。行動する前に地元の事情を理解した上で、地域社会からある程度の合意形成を得る、あとは行動あるのみです。うまくいかなければ都度軌道修正していけばいいです。

 

いかがだったでしょうか。地域おこしはなかなか大変そうという印象を持たれた方も多いかと思います。確かに簡単ではありません。でもだからこそやり甲斐があります。都会の大企業で歯車として働くのでは得られない、自らが主体となって物事を進めていく醍醐味があります。危機という字は危険と機会の組み合わせです。ピンチはチャンスです。地方の危機をあなたの手で救って下さい!