田舎暮らし in 熊野

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人工美の最高峰、足立美術館の日本庭園を訪問

 

先日、島根を旅しました。印象に残った二つのスポットを紹介します。一つ目は安来市足立美術館の日本庭園、二つ目は東出雲町の黄泉比良坂です。今回は足立美術館の日本庭園を紹介します。

 

足立美術館横山大観の絵を中心に、近代日本絵画を主に展示しています。足立美術館は絵画だけではなく、日本庭園でもとても有名です。アメリカの日本庭園専門誌で17年連続日本一に選ばれています。

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なんとも美しい日本庭園でした。剪定などの管理が行き届いており、非常に完成度の高い日本庭園に思われました。スケール、配置、色彩等も秀逸です。私は日本庭園の専門家ではありませんが、趣味で多くの日本庭園を訪れています。京都の龍安寺天龍寺詩仙堂桂離宮の庭園、金沢の兼六園、高松の栗林公園、鎌倉の瑞泉寺の庭園などです。そんな中でも、足立美術館の日本庭園は、日本庭園の最高峰の一つだと思いました。

 

しかし、です。何かが足りない気がしました。なんと言ったらいいのか難しいですが、人工的過ぎるような印象を持ちました。「すき」がないとも言いましょうか。ある種の「遊び」や「外し」の要素が感じられないのです。人間を例にとると、容姿端麗、頭脳明晰、性格も良く、スポーツ万能の人間のような感じです。(こんな人間はいないと思いますが)こういう人間は、憧れや畏怖の対象にはなっても、人を惹きつけることは難しいような気がします。完璧過ぎて近寄り難い、となるのではないでしょうか。足立美術館の日本庭園も完成度が高過ぎて、逆に違和感を感じさせてしまうのかもしれません。私はそう感じました。

 

私が一番好きな日本庭園は、鎌倉の瑞泉寺の庭園です。鎌倉時代の後期から室町時代にかけて活躍した名僧、夢窓疎石が作庭しました。夢窓疎石は作庭家としても大変有名な人物です。瑞泉寺の日本庭園は、日本庭園好きの間ではよく知られていますが、一般的にはそこまで有名ではなく、観光客もほとんどいません。この庭園の魅力は、自然と一体化していることだと思います。岩をくり抜いた洞窟の前に池、橋があります。手入れが徹底されている感じはありませんが、それが逆に自然さを感じさせます。人工美と自然美が調和しているように思います。

 

少し話が飛んでしまいました。足立美術館の日本庭園は、間違いなく日本庭園の最高峰の一つだと思います。庭園としてだけではなく、人工美の一つの極地だとも思いました。ただ、「すき」がなく完成度が高過ぎるため、私は逆に違和感を感じてしまいました。少し「すき」が欲しいところです。人間も、ちょっと「すき」のある人のほうがチャーミングですよね。