田舎暮らし in 熊野

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ノーベル賞受賞 大村智先生の説く 田舎暮らしのススメ

大村智先生といえば、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞された方ですよね。ノーベル賞受賞者で思い浮かべるのは、頭が良い、知の巨人といったところでしょう。大村氏は意外なことに、からだを動かすことの重要性を述べています。正確に述べると、からだを動かす経験を積むことは、知的活動に非常に良い影響を与えるということのようです。大村氏のエッセイ『人間の旬』を紹介します。

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大村氏は小さい時から、スポーツに親しみ、高校時代にはスキーの県大会に優勝し、県代表として国体にも出場しました。子供の時には新聞配達もしていました。からだを動かすことな大切さについてエッセイの中でこう述べています。

「私はこのスキーを通して、忍耐強く闘うことによって、苦しさを克服することの喜びや、また高い目標を掲げ、それに向かって一層の努力をし、成し遂げる喜び、そして人生を計画的に生きていく力など、さまざまなことを学ぶことができた。スポーツは自分との闘いであると同時に、先輩や後輩との協調性も要求される。わがままは許されないのである。また、自分の役割を自覚しながらチームに貢献しようという気持ちも大切である。これらのことは、その後の研究生活にとても役立ったと言える」

別の箇所でこうも述べています。

「とにかく何か1つ肉体的に厳しいことを経験しなければ、大人になってから頑張りがきかなくなります。仕事は大勢の人とするわけですから、自分から泥をかぶることを知らない人は成功できません。嫌なことも自分から進んでやるということができなければ、大きな仕事はできません。小さい時に肉体的な苦痛があるようなことを経験していますと、嫌なことにも意欲が出てくるのです」

 

大村氏の両親は、大村氏に「勉強しろ」とは一度も言わなかったそうです。代わりに新聞配達の仕事、家事の手伝い、スポーツをやらせました。このことがノーベル賞にまでつながるその後の研究生活の基盤になっているということでしょう。

 

大村氏は本書の中で、東京一極集中に強い警鐘を鳴らしています。東京の出生率は低く、東京一極集中が進むと日本全体の人口減少が進むという人口論的意味での問題意識ではありません。都市生活は便利である反面、自らがからだを動かす機会が少ないことを問題としているのです。自らが動かなくなると、忍耐力や主体性が失われてしまいます。

 

いかがでしたでしょうか。ノーベル賞を受賞された大村智先生は、知的活動の基盤としてからだを動かすことを重視している、という話でした。その理由は、からだを動かすことで忍耐力や主体性が生まれることです。便利な都会では、なかなかからだを動かす機会がありませんよね。田舎には沢山あります。次世代のノーベル賞受賞者は、田舎から生まれる可能性が高いのかもしれませんね。