田舎暮らし in 熊野

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平成とは何であったのか 〜神話の終焉と再生〜

本日、新元号が発表されました。

「令和」  

初めて日本の古典(万葉集)から採用されたことが印象的です。来月から新しい時代が始まります。これを機に平成期に国内で起こった代表的事件を取り上げて、平成とはどのような時代であったのかを考えてみます。 代表的事件として、バブル崩壊阪神大震災、東日本大地震の三つを取り上げます。

 

私見では、平成はある種の神話が崩壊した時代だと思います。神話とはある共同体の中で大多数が信じている物語、といった意味合いで使います。どのような神話が崩壊したのか。一つ目は経済発展、二つ目は都市の繁栄、三つ目は自律的消費社会です。

 

バブル崩壊による経済発展神話の終わり

平成はバブル崩壊で幕を開けました。バブル華やかなりし頃は日本の一人当たりのGDPは世界トップクラスでした。2017年には世界で25位と先進国としては最低クラスに落ちました。最近では陰りが見えるとはいえ、現在景気拡大局面にあるとされています。しかし、国民一人ひとりひとりが経済的豊かさを実感できていない以上、失われた20年は続いていると考えていいでしょう。

 

阪神大震災で都市繁栄神話の崩壊

私は当時まだ小学生でしたが、あの時のことを鮮明に覚えています。三重県に住んでおりました。夜明け前にタンスが倒れてくるかのような揺れを感じました。起きてテレビを見ると、高速道路が横倒しになっている、街が火に包まれている様子等を見て衝撃を受けました。都市の繁栄も大災害の前では、はかなく崩れ去ってしまうことを実感しました。

 

③東日本大地震で自律的消費社会という神話が崩壊

私は当時、愛知県のオフィスで働いていました。波のうねりの上にいるような横揺れを感じました。ニュースで津波、火事、東京にも大きな被害が出ている様子を見て驚愕しました。その後も首都圏で大量の避難民の発生、輸送網が寸断されてコンビニから商品がなくなる、停電、そして原子力事故とこれから日本はどうなるのだろうと不安に苛まれました。東日本大地震を通して、東京という消費社会の脆弱性を実感しました。都市消費社会は田舎に生産を依存しており、田舎に大災害が起これば都市にも大きな被害がでることを。食料、エネルギー、工業製品も実際には田舎に依存していることが明らかになりました。

 

暗い話ばかりしてきましたが、明るい話もあります。一つ目は質素な生活の魅力が再評価されてきたことです。断捨離がちょっとしたブームになっています。今までのような物質的豊かさイコール幸せという考えとは逆で、出来るだけ物を持たないことで幸せになるという考え方です。シェアリングエコノミーの進展もあり、所有から共有へという流れは今後も続くでしょう。二つ目は個人の力が拡大したことです。IT等テクノロジーの進化で、今までは受けてであった個人が、発信する主体として台頭してきています。SNS等での情報発信、ネット通販での販売、3Dプリンター技術が進めば、個人が製造業に参入できるようにもなるでしょう。

 

いかがでしたでしょうか。平成は神話崩壊の時代なのではないかという話でした。具体的には、経済発展、都市繁栄、自律的消費社会という神話の終焉です。新たな時代の可能性として、質素な生活の再評価、個人の力の増大を上げました。神話は生まれては消え、また生まれます。「令和」がより良い時代になることを願っております。