田舎暮らし in 熊野

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『ウォールデン 森の生活』に学ぶ田舎暮らしの極意

「私は、五年を超える歳月を自分の手で働いて生きた経験から、一年につき六週間ほど働けば、暮らしに必要なあらゆる代価をまかなえることを発見しました」

『ウォールデン 森の生活』の中の一節です。

 

『ウォールデン 森の生活』はアメリカの詩人、ソローによる著作で1854年に発刊された本です。ソロー自身が森の中で自給自足的な生活を行った経験をもとに、森の生活の細かな描写から、人にとって善い生き方とは何かというような思想、哲学までも幅広く語っている本です。アメリカ文学史に残るノンフィクション文学の金字塔と言われています。私の愛読書の一つでもあります。

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この本から学ぶ田舎暮らしの極意何か。ずばり、質素に暮らすことです。この本の中でソローは人間にとって絶対に必要なものは太古の昔から4つしかないと述べています。必要最低限の食料、衣服、住居、燃料だけであり、必要以上に何かを所有することで、それらを失うことが怖くなって、人間本来の幸せとは正反対の奴隷的労働に堕ちていくのだと。人が物を所有しているつもりが、逆に人が物に所有されてしまうという逆説。 質素に暮らしていたら、何かを失う恐怖に苛まれることもなく、自然の些細な変化の中にも驚きを見出して、幸せに生きていくことができるのだと述べています。

 

田舎といえども、現代文明に暮らす人間として、実際に森の中にこもって、自給自足の質素な生活をすることは難しいでしょう。ただ、現代文明が物質的豊かさと引き替えに失ってしまった何かに思いを馳せ、少しでもそれらを取り戻すためのヒントがこの本の中にあるように思われます。都会的な物質文明から少し距離を置いて、田舎で質素な暮らしをおくることで「何もないことの幸せ」を見つける良い機会になるのかもしれませんね。