田舎暮らし in 熊野

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漁業者に見る 織田信長的なる生き方

「漁業者に見る織田信長的なる生き方」

突飛な題名に思われたでしょう。実は漁業者の生き方は、織田信長のそれに似ています。具体的に述べますと、不確実な未来に対して、尻込みせず自らを投げ込んでいく生き方です。漁業は海という自然を相手にしており、非常に不確実性の高い産業です。大漁の日もあれば、まったく魚が獲れない日もあります。合理的に未来を予測することは、極めて難しい産業と言えます。それでも漁業者は可能性を信じて海に出て行きます。

 

織田信長の生き方はどうでしょう。私は桶狭間の戦いの前に信長が舞ったと言われている『敦盛』と彼の行動の中に信長の生き方の本質を見ます。

「人間五十年 化天の内を比ぶれば、夢幻の如くなり 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか」

当時、敵の今川義元と比べれば、信長は弱小大名に過ぎませんでした。合理的に考えて勝てる勝算はほとんど無かったでしょう。しかし、彼は挫けることなく、死の自覚を持って不確実な未来に立ち向かっていき、結果としては大勝利を収め、歴史に名を残しました。

 

いかがでしたでしょうか。漁業者は織田信長のように、不確実な未来に対して自らを投げ込んでいく生き方をしているのです。一般的には合理的、論理的に未来を予測して行動することが良いこととされています。もちろんこれはこれで重要です。ある程度の予測が立たなければ行動し難いことは事実でしょう。ただ、人生の本質は不確実です。死を除いては。不確実な未来に対して自らを投げ込んでいく生き方こそ、人間本来の生き方なのではないでしょうか。西洋哲学的にはドイツの哲学者、ハイデガーが『存在と時間』で述べた「投企」という概念に近いと思います。私には生き方を通して、漁業者と織田信長ハイデガーが繋がっているように思えます。