田舎暮らし in 熊野

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新聞は軽減税率の対象、書籍は対象外になったのはなぜか。

先日、消費税増税後に初めて本を購入しました。なんと消費税が10%に上がっているではありませんか!新聞は軽減税率対象で8%に据え置かれると知ってましたので、当然、書籍も軽減税率の対象かと思っていました。

 

新聞が軽減税率対象になる根拠は何なのでしょうか。新聞は国民に情報や知識を広く知らしめるという公共性を有しているため、活字文化を守るため、ということのようです。新聞だけでなく、書籍もこの二つの条件を満たしていると思われ、納得いきません。新聞と書籍の違いは客観性の有無にあるのでしょうか。新聞は客観的な出来事を報道しているのに対して、書籍は出来事の解釈という主観性を伴っており、公共性が低いということなのでしょうか。例えば、ある場所で殺人事件が起こったとします。殺人事件が起こったという事実は客観的出来事です。なぜ殺人事件が起こったのか、犯人の個人的背景や社会的背景は何かを解釈することには主観性が入っています。新聞は客観的な出来事を報道しているだけでなく、主観的解釈も行なっていますよね。よって、客観性の有無が新聞と書籍の違いだとは思えません。

 

書籍が軽減税率の対象外になった理由を調べたところ、有害図書(成人誌等)とそれ以外の線引きが難しいため、ということのようです。確かに、有害図書に軽減税率を適用すべきだとは思いません。線引きが難しいとはどういうことでしょう。国が有害図書を指定するのは、憲法で禁止されている行政による検閲に当たる恐れがあり、表現の自由を侵害する恐れがあるので、慎重であるべきとの考えのようです。とは言っても、現実に有害図書指定は存在します。国ではなく、地方公共団体による条例や出版業界の自主規制によってなされています。出版業界の自主規制はさておき、条例による規制も公権力による実質的検閲とも考えられます。既に、公権力による実質的検閲を行なっておきながら、国による有害図書指定は、憲法で禁止されている行政による検閲に当たる恐れがあり、表現の自由を侵害する恐れがあるため、慎重であるべきとの主張は論理破綻しているように思われます。私は法律の専門家ではないので、細かい話は分かりませんが、何かおかしいと思います。

 

新聞は軽減税率の対象で、書籍は対象外になった真の理由は別のところにあると思います。私の推測の域を出ませんが、政治権力とメディア権力の間には見えない癒着構造があるのではないでしょうか。新聞社はテレビ局と深い関係があります。産経新聞はフジテレビと、朝日新聞テレビ朝日と、読売新聞は日本テレビと、日本経済新聞テレビ東京と、と言った具合に。新聞社は新聞、テレビ局を通して、世論形成に大きな影響力を持っています。政治権力側は、新聞社に軽減税率という「利権」を与える見返りに、政権に対する批判的報道を控えてもらうといった癒着構造が「なんとなく」出来上がってはいやしないでしょうか。癒着というと何か悪事を働いているかのように響きますが、私はそのようなニュアンスで言っているのではありません。政治は利害調整の場です。何かを得れば、何かを失うことは致し方ないと思います。

 

軽減税率を通して、政治権力とメディア権力が癒着しているのではないかとの私論を述べました。明確な証拠があるわけではありませんし、基本的には反権力のジャーナリズムが、政治権力とあからさまに癒着しているとも思いません。ただ、新聞社が軽減税率という「利権」を得ることで、結果的に政治権力と癒着してしまう恐れがあるのではないかと思っています。ある種の「忖度」によって。

 

私は、反新聞的な立場ではありません。日本の一般紙を1紙、経済紙を1紙、アメリカの新聞を1紙、毎日読んでいます。ネットでの情報検索と違って、新聞には一覧性があるので、幅広い情報に触れることができるため重宝しています。健全なジャーナリズムを守るためにも、政治権力とメディア権力の癒着構造を産み兼ねない、新聞への軽減税率適用は止めるべきだと思います。