田舎暮らし in 熊野

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消えゆく街並みを惜しんで 〜名古屋駅界隈の古今東西〜

 

名古屋駅周辺は再開発が進み、現在では国内有数の超高層ビル群を有するエリアです。オフィス街であり、お洒落なブティックや飲食店などが立ち並ぶ場所です。東京の丸の内、大阪の梅田のような場所です。2027年のリニア開通に向けて、更なる再開発が進行中です。

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名駅名古屋駅)といえば、超高層ビル群を想像する方が多いと思います。実は名駅にはもう一つの顔があります。超高層ビルが林立しているのは、名駅の東口側です。線路をまたいだ西口側は違った世界が広がっています。西口側は、下町風情を残す商店街や住宅地、はたまた歓楽街となっています。東京の蒲田、大阪の十三のような雰囲気です。かつて8年間住んでいた名古屋を久しぶりに訪れて、散策しました。名駅界隈の古今東西を紹介します。

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西口からほど近くにある駅西銀座商店街です。生ビール190円は安いですね。缶ビールより安いです。

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こちらも西口周辺の様子です。

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周辺に趣のある神社が佇んでいました。

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戦後間もない頃の西口界隈には、バラック小屋の様々な商店が並んでいたそうです。

 

下町風情を残す西口界隈にも、実は再開発の波が押し寄せてきています。近年、大型ホテルが続々とオープンしています。リニア開通に向けて、東口側だけでなく、西口側の再開発も進んでいくことでしょう。下町風情のある街並みが徐々に失われて、現代的なビル街に変わってゆくことにどこか寂しさを感じます。

 

明治、大正、昭和を生きた文豪、永井荷風を思い出します。荷風は、明治維新後の文明開化騒ぎの中で、失われゆく江戸情緒に哀惜の念を持ち続けました。軽薄に欧米化を追求する世相に背を向けて、失われてゆく江戸情緒の中に行きました。荷風は、単なる懐古主義、復古主義者ではなく、フランス、アメリカに長らく暮らした経験もあり、特にフランスを深く愛しました。フランスは、当時の最先進国の一角でありながら、伝統を非常に大切にする国で、古い街並みや習慣がしっかり残っていました(現在でも同じです)先進国でありながら、伝統も大切にする、そんなフランスの姿に荷風は心を打たれたのでしょう。対して日本は、伝統に背を向けて、文明開化、文明開化と浮かれ騒いでいたわけです。大切な文化財である江戸時代の浮世絵などが、ゴミのような扱いを受けていました。このような日本の姿に荷風は、嫌悪感を持ったのでしょう。

 

文明開化に浮かれ騒いでいた明治日本、グローバル化万歳の現代日本、変わっていないように思われます。日本人は、伝統に根ざした精神の「軸」をもつ必要があるような気がしてなりません。裏を返せば、この「軸」のなさは柔軟性でもあり、それによって、歴史的に様々な文明を取り入れることができた、とのプラス面もあるのでしょうが…。

 

話を戻します。リニア開通予定の2027年頃には、西口界隈も超高層ビル街になっているのかもしれません。古い商店街や住宅地で飛び交う日常会話、歓楽街のざわめきも徐々に消え去ってゆくのでしょう。私は、失われゆくものへの哀惜の念を持ち続けていたいです。