田舎暮らし in 熊野

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衰退する漁業を救う切り札となるか、帆船で漁業!

漁業で使う船といえば、燃油を使ったエンジンで動く船を思い浮かべる方々が多いでしょう。風を受けて走る帆船なんて古い、と思われることでしょう。実は今、海運業界で帆船に注目が集まっています。なぜか、それは風力が地球に優しい、エコエネルギーだからです。大きな船を動かすためには多量の燃油が必要です。燃油を燃やせば、当然二酸化炭素を大気中に排出します。帆船ですと、風の力だけで走るので、二酸化炭素を大気中に排出しません。日本の大手海運会社の商船三井は、2020年に新型帆船を就航させる計画です。大型貨物船としての利用を想定しているようです。

 

では、漁船はどうでしょう。私が調べた限り、現在、帆船で本格的な漁業をしている漁業者はいないようです。お金持ちがクルーザー(帆船)で釣りをしているのは、生業としての漁業ではなく、遊びの一種ですのでここでは省きます。

 

私が漁業に帆船を利用したらいいのではないかと考える理由は、地球環境保護のためというよりも、漁業者の燃油負担軽減のためです。風の力で走れば、燃油代はゼロですみます。漁業者にとって燃油代は大きな負担です。私は現在、漁業関係の仕事に就いており、漁業者から話を聞く機会が多いです。やはり、燃油代は大きな負担とのことです。漁に出て、魚が獲れなければ、燃油代は純損失になります。燃油代の負担を考えて、出漁に慎重にならざるを得ないのです。

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エンジンで動く漁船の写真です。

 

では、漁業に帆船を利用する際の課題は何でしょうか。一つ目は不安定性です。風の強弱等で走行速度などが大きく変動します。二つ目は、操船の難易度が高いことです。実は、私はヨット乗りです。とある艇種の全日本選手権で準優勝したこともあります。エンジンで動く船に比べて、帆船の操作は非常に難しいです。三つ目は、スピードが遅いことです。帆船は強風が吹けば、かなりのスピードが出ますが、エンジン船には敵いません。

 

では、漁業に帆船を利用するのは不可能なのでしょうか。そうは思いません。補助的な動力源として、風力を利用することはできると思います。高度な操船技術が必要な場合や急ぎの時は、エンジンを使い、安定航海中には風力を利用した帆走を行うという使い分けです。商船三井の開発している新型帆船もこのような動力の使い分けを想定しています。

 

古くて新しい帆船漁業が衰退する漁業を救う切り札になるのかもしれませんね。