田舎暮らし in 熊野

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「マツタケ」に学ぶ共生という生き方

マツタケの土瓶蒸しや、焼きマツタケは、香り豊かでとても美味しいですよね。今では超高級食材になってしまい、なかなか食べる機会に恵まれなくなりました。国産品ですと1kgあたり数万円もします。シイタケより安価だった時代もあるそうです。マツタケがなぜこんなにも高級品になってしまったかというと、主に人工栽培が出来ないため、需要に対して供給が大幅に少ないからです。

 

最近、欧米を中心にマツタケに関心が寄せられているようです。食材としてというよりも、マツタケの「生き方」に対してです。フランスのリベラシオン紙にマツタケの「生き方」に現代社会の行き詰まりを打破する鍵がある、との興味深い記事が出ていましたので紹介します。

 

マツタケの「生き方」とはどのようなものでしょうか。それは共利共生です。マツタケは生きた木(主にアカマツ)の根元に生えます。マツタケアカマツの根元から栄養分を得ます。アカマツマツタケのおかげで土壌から栄養分や水分を効率的に吸収できます。まさに共利共生の関係です。

 

マツタケが増える場所は、人間の手が入っていない原生林の中ではなく、人間の活動の影響を受けた場所のようです。伐採された木々の代わりに生えたのがアカマツであり、そのアカマツと共に増えたのがマツタケです。マツタケは土壌の栄養分が多過ぎても生えないようです。落ち葉を放置すると土壌の栄養分が増え過ぎてしまい、マツタケは生え難くくなるようで、落ち葉拾いなどの人間による適切な管理が必要なのです。

 

マツタケアカマツの共生関係は、人間と自然の間にも当てはまるのではないでしょうか。人間は自然から栄養分などを得ます。人間は自然を適切に管理することで、自然を保護します。例えば、木々の間伐を行うことで森に光が入りやすいようにし、植物の成長を促進します。加えて、光合成を即することで二酸化炭素の吸収が活発になり、地球温暖化の軽減にもつながります。

 

環境保護が叫ばれていますね。私も基本的には環境保護に賛成です。人間と自然の間のバランスが崩れていると思うからです。人間が自然を利用する割合が自然が人間を利用する割合を大きく上回って、環境破壊が進んでいるように思われます。ただ、現在の環境保護運動を見ていると、人間と自然が本来、共生関係にあるということを忘れているように思えます。自然を破壊する「人間」はけしからんとなりがちです。自然を征服の対象と見る人間中心主義と、自然を絶対的に保護すべき対象と見る自然中心主義は、双方とも人間と自然の関係を対立的に見ているという意味で同床異夢のように思われます。私は自然と人間は対立関係ではなく、共利共生関係にあると思っています。

 

いかがでしたでしょうか。生きたアカマツと共利共生するマツタケの「生き方」を通して、人間と自然の関係を考えてみました。人間と自然は本来、対立する関係ではなく、共利共生する関係ではないのかとの話でした。人間中心主義と自然中心主義の対立を超えて、人間は自然と共利共生しているという実感を取り戻すことが、現代社会の行き詰まりを打破する鍵になるのかもしれませんね。